先日、新人のドクターと一緒に生口島にある平山郁夫美術館に行ってきました。素晴らしい絵が沢山展示されており、いつも通り私は感動のるつぼの中に投入されてしまいました。しかし今回は新人研修ですから、教育が目的です。いくつかの伝えたいことがあったのです。
1、 まず初めに純粋に絵を追求することのすばらしさ。この純粋さは人の心を打ちます。歯科においても、「純粋に歯科医療を追い求める」ことは何よりも大切であること。
2、 次に東京芸大主席卒業の奥様が一切筆をとらず、次席卒業の平山郁夫の絵かき人生のサポートに全てをささげたこと。これは人間的魅力以外に理由が見当たらない。歯科医である前に人間を磨くことが大切であること。
3、 初めての院展に落選したが、次の年同じ構図の絵をもう一度書き直し入選。普通なら違う絵を出すところを、欠点を研究し尽くして再提出で入選。この普通でない探求心と信念。
4、 7年間の院展作品は平山らしさがない。全く魅力なし。8年目から平山絵画開眼。良い画家になるには基礎の積み上げ期間が必要。基礎なくして花開くことなし。歯科医も同じく王道はない。
5、 平山は50枚の院展作品を残した。どんな巨匠であっても人生も作品も有限。人生は黄金の砂時計。私たちも目の前の患者さんの治療一つ一つに全力を尽くすべき。