「春や昔 十五万石の 城下かな」一瞬にして景色が浮かぶ言葉のスケッチブックを見るようです。のぼるという自分の名前から野球という言葉を作ったのは松山が誇る我らが正岡子規です。すごい言葉のセンスだと思います。彼は近代文学史に俳句の巨人として偉大な足跡を残しました。
日本には昔から言霊があります。言葉に魂が宿るという考え方です。古事記には八百万の神々のことが書かれていますが、この書物によると、その中で一番強い神様は言霊の神だというのです。昔の人は言葉の力を非常に重要視していました。祈りの言葉の力で国を繁栄させたり、人を幸せにしたり、逆に人を不幸にしたりすることができると考えられ、実際にそのような目的で使われてもいました。現代でも催眠や言葉で人を操ることができるといいますし、ビジネスや政治でも、人は言葉で交流し、また戦います。逆に物理的な力で戦うことは少なくなり、力を使った者は裁かれる時代になりました。昔のように物理的に力の強いものが勝つことはだんだん少なくなっています。言葉はとても重要で、力を持っています。言葉の使い方を誤ると、信用を失ったり、人生を棒に振ることさえあります。
私は18歳の時に「願望は必ずかなえられる」という本に出合いました。謝 世輝という当時東海大学の教授で台湾人の方が書かれた本でした。実をいうとこの本は私の人生を変えた一冊なのです。どんな内容かというと、プラスの考えがプラスの結果を生み、マイナスの考えがマイナスの結果をひき寄せる。その人の想念によって人生が決まるということをいろんな例を挙げて説明しているのです。つまり「必ずできる」と信じることで、道が開けてゆくという内容です。当時はまだそんな本は少なく、夢中で読みました。この本に関連するいろいろな本を読んでゆくと、実はこの考え方は以前からアメリカにあり、アメリカンドリームの根底にある考え方のようです。ノーマンv.ピールやデール・カーネギーなど著名な思想家がこの考え方を著作の中で語っています。この理論の真偽は分かりませんが、少なくとのマイナスに考えることで人は行動を起こさなくなり、プラスに考えることで行動を起こすようになることは間違いないでしょう。また人間関係もプラス想念の方がうまくゆくでしょうし、マイナスに考えて人を疑えばもめごとが起こりやすいでしょう。いずれにしても私は行動してきました。プラスに考え、必ずそうなると確信し物事を進めてきました。実際37年やってみて、そうしない場合との結果にはかなり大きな違いがあるように確信しています。京セラの稲森会長も基本的に同じような考えのようです。しかしさすがに一味違いました。以下、稲盛会長の言葉をそのまま引用します。新しいことを成し遂げるには、まず、「こうありたい」という夢と希望をもって、超楽観的に目標を設定することが何よりも大切です。しかし計画の段階では「なんとしてもやり遂げなければならない」という強い意志を持って悲観的に構想を見つめなおし、起こりうるすべての問題を想定して対応策を慎重に考え尽くさねばなりません。そうして実行段階においては「必ずできるという自信をもって、楽観的に明るく堂々と実行していくのです。 やはりただものではないですね。