カナザキ歯科 院長ブログ「歯科道一直線」

日記

2019/08/23

必要な「飢え」

先日、九州歯科大学の大学院生を対象とした歯周外科セミナーの講師として北九州の小倉に行ってきました。歯周病とは細菌によっておこる歯肉の炎症によって出血や腫れ、骨の吸収などの結果、歯が動揺し最終的には歯を失う病気です。また最近では全身の様々な病気の原因にもなることが分かっています。歯周病の治療は歯周基本治療(ブラッシング、歯石除去など)が基本になりますが、それだけでは不十分な重症ケースでは歯周外科を行います。歯周外科には様々な種類があり、かなり専門的な知識と技術が必要になります。

この歯周外科手術に関する知識と実技について6回のセミナーを今年から毎年受け持つことになっております。今回3回目でしたのでようやく半分まで来ました。次回からはいよいよ実際の患者様でのライブオペも入ってきます。歯周外科の6回コースが終われば今度はインプラントのセミナーを行う予定です。なんて忙しいんでしょう?(笑)

私が大学院生の頃はこのようなセミナーは一度もなく、常に知識や技術に飢えていました。全て自分で文献を調べ、先輩のアシストをしながら技術を自分で習得する以外方法はありませんでした。ですから今でも新しいことを始める場合、まず自分で調べ、身銭を切って開発者や先駆者に直接会い、教えを請い、練習し、考え、工夫し、消化吸収し自分のものにする方法が身についています。自動進化装置が体内に埋め込まれているような感じです。

しかし現在、多くの大学生や大学院生は親切丁寧に手取り足取り教育を受けています。知識は豊富で技術習得も効率が良いでしょう。もはやそこに「飢え」は存在しません。当院では歯科医師や歯科衛生士などのスタッフには私自身が毎朝2時間の指導を行います。しかしそれはただの懇切丁寧ではなく「飢え」を意識した教育、自力で進化できる指導でなければよろしくないと考えています。つまり基礎は丁寧に教えるけれども、応用は自分で考え、悩んでどうしても答えが欲しいと飢えた状態になってからさらに深いものを教える。そうでなければ本当の価値もわからず血肉にはならないということです。臨床と教育のカナザキ歯科、これからも進化します!