ある患者さんのインプラントオペの前に控室に説明に行ったときの話ですが、今から行う予定のオペについて説明しようとしたところ、真っ先に「インプラントしてもらって本当に調子いいですよ。ありがとうございます。」とお礼を言われました。この方は今回のオペが5回目になります。最初のころはインプラントに対してどちらかというとマイナス的な考えをもっていらっしゃった方ですが、回を重ねるごとにインプラントの良さがわかってきたそうです。とにかくなんでも食べられるし、食事がおいしいとのことでした。スポーツをされているので余計にそう感じられるのかもしれません。「こんなことならもっと早くいっぺんにやっておけばよかった」と残念そうにおっしゃっていました。この日はとても難しいオペでしたが、大変うまくできました。今回は術後に腫れない工夫をしてみましたので、術後3日目ぐらいが楽しみです。インプラント治療をしていていつも思うのですが、本来当然のようにあるものに対して私たちは空気のように大切さを忘れていることが多いと思います。人や組織や自然、そして歯に関しても同じことが言えます。
私も歯を一本なくした経験があります。1本なら無くても何とかなるのでまあいいかと思ってしまいます。でも知らず知らず、歯がないところでは噛まず、反対側で噛むようになります。それから5年ぐらいたつと偏って噛んでいるほうの歯に異変を感じるようになります。こうやって次々と健康な歯を失ってゆくのです。これを咬合崩壊と言います。
賢明な人は"今あるものの価値を知っており感謝し大切にする"という話を聞いたことがあります。健康な歯に感謝し健康なまま一生使っていければ素晴らしいと思います。
私たちも皆様の歯が一生健康で、おいしく楽しい食生活ができるよう全力でお手伝いさせていただきます。