虫歯がない。腫れもない。それでも歯が痛い場合があります。
「先生、歯が痛いんだけど」「じゃ、レントゲン撮ってみましょう」ということでレントゲンで確認しても全く異常がない。
歯の痛みの原因は様々ですが、大きく分けると
①歯の中の神経(歯髄)の痛み
②歯の周りの神経の痛みに分かれます。
(専門的にはもっといろいろありますが今回は省略します)
①の歯の中の神経の痛みについては、一般の皆様も理解しやすいと思います。虫歯や歯が割れたときなどの痛みです。しかし、②についてはどうでしょう?歯のまわり、特に歯根の周りには歯根膜という組織があります。歯根を足に例えると、靴下のようなものと考えれば分かりやすいでしょう。歯の許容量を超える力が歯根膜にかかると歯根膜炎が起きます。捻挫や打ち身のようなものと考えてください。歯根膜炎の症状は何となく歯が痛いとか、鈍痛が多いのですが、歯がしみたり、もっとひどい痛みになることもあります。
多くの人は虫歯に違いないと思うでしょう。しかし、この時、原因が分からないまま歯を削ったり、神経をとったりすると、もっと痛みがひどくなります。歯根膜炎の場合には麻酔が効きませんので、大変つらい目に合います。
原因としては、夜中のくいしばり、片側噛み、日中の噛みしめ、無意識の軽い噛みしめも原因になります。その場合は、噛みしめをやめないと治りませんが、無意識下の行動なので患者自身が気付かないため、説明してもなかなか納得してもらえないことが多いのです。
無意識の噛みしめを治すためには「リマインダー法」と「姿勢治しの体操」「マウスピース」などの治療法があります。
片側噛みを両方で噛めるようにするには、噛み合わせの調整をして両側で噛みやすくしたり、歯の欠損がある場合には補綴(歯を補う事)をするなどの方法が有効です。
詳しい治療方法については、次号にてご説明しますのでお楽しみに。