侵襲性歯周炎とは、全身的に健康ではあるが,急速な歯周組織破壊(歯槽骨吸収,付着の喪失),家族内集積を認めることを特徴とする歯周炎である。また,一般的には細菌性プラークの付着量は少なく,患者 は 10 歳〜30歳代が多い。患者によっては Aggregatibacter actinomycetemcomitans の存在比率が高く,生体防御機能,免疫応答の異常が認められるなどの二次的な特徴がある。発症率は、0.05〜0.1%とそれほど多くはない。
侵襲性歯周炎には、限局型と広汎型があり、限局型の特徴は、①思春期前後に発症する、②感染因子に対する著しい血清抗体反応が見られる、③第一大臼歯と切歯に限局した隣接面のアタッチメントロスが少なくとも二本の永久歯に認められ、病巣の範囲は第一大臼歯と切歯以外の部位では2歯までである。広汎型の特徴は、①通常30才以下の人に認められるが、それ以上の年齢でも認められることがある、②感染因子に対する血清抗体因子が十分に誘導されない、③第一大臼歯と切歯以外の部位で少なくとも3歯以上の広汎な隣接面のアタッチメントロスが見られるである。
侵襲性歯周炎に対する治療方針としては、歯周基本治療、歯周外科手術、歯周組織再生療法などが挙げられる。侵襲性歯周炎は、通常の歯周炎に比べ、プラークコントロールが特に重要になる。機械的プラークコントロールとして、ブラッシング、スケーリングによる歯肉縁上プラークコントロールやSRPによる歯肉縁下プラークコントロール。また、化学的プラークコントロールとして、洗口剤(細菌性プラークの形成抑制作用や薬剤の歯面への沈着作用を有する低濃度のクロルへキシジン溶液の使用が効果的)を用いた歯肉縁上プラークコントロールや歯周ポケット内洗浄(シリンジなどにより歯周ポケット内を薬液で洗浄)、抗菌薬の歯周ポケット内投与(テトラサイクリン系抗菌薬徐放性軟膏)、抗菌薬の経口投与による歯肉縁下プラークコントロールがある。
「参考文献」 歯周治療の指針 2015 日本歯周病学会
研修医:餅原 芳文