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研修生の声

2021/07/16

しまなみ勉強会 ~平山郁夫美術館に行って〜

先日、日本画家や教育者として有名な平山郁夫の美術館に訪れるという貴重な機会を頂いた。東京芸術大学名誉教授や文化功労者の経緯を持ち、数々の有名な作品を残した。特にシルクロードをモチーフとした連作絵画を知らぬものはいないだろう。

今回、美術館に行くことが決まった際、そして着くまでの間私は今回の研修をただ何となく色合いが表現が上手い絵を見るんだろうと決め込んでいた。しかし、実際に足を運んでみると想像とは違ったのだ。その美術館には平山郁夫の人生が収められていたと言っていいだろう。この美術館に赴いて驚いたことが2つある。

1つは母親の教育の在り方である。幼き頃より平山郁夫の母平山ヒサノは幼き頃より絵を描くことが好きで空腹すら忘れてしまうほど絵に夢中になる姿を見て絵日記を勧めたことです。この絵日記がなければ今の平山郁夫はなかったと実際にそれを目の当たりにした私はそう実感した。また、絵日記の内容と毎回母ヒサノの確認をしていたということから幼いながらも上手く物体を捉えた絵を描いていた。

2つ目は天才というのは最初からそうであった訳では無いということだ。私たちが普段目の当たりにする天才と呼ばれるもの。それを目にし耳にした時こう思うのではないだろうか。それは天才だから出来ることだ。自分とは出来が違うと無意識に相手を上げ自分を下げるように考えていると思う。そして多くの人はその人の天才的な何かを褒めると思うが、そのような天才は最初からそうであった訳では無い。実際、平山郁夫の人生は最初から今のような評価を受けていた訳ではなく苦悩の日々を過ごしていたことがこの美術館での年譜を見るだけでも分かる。彼の絵が大きく評価されだしたのは30を目前とした頃からである。この頃から彼の作品は世に認められ彼の描く作品は注目を浴びることとなった。ここまでに至る間彼は自分の描きたいものが何なのか悩みに悩んだと思う。しかし彼は長い間世間に認められなくても自分の絵を描き続けていた。それは暗闇の中手探りで何かをみつけだすようなものだったと思う。そんな中でも彼は絵を描き続けた。その姿勢をみて今自分は研修医という立場であるが臨床に立ったばかりであり歯科医師として未熟であり悔しく恥ずかしい思いをするばかりと痛感の日々を送っている。しかし、平山郁夫の人生と成功までの道を見ることで成功はすぐにくるものでは無い。根気よく誠実な気持ちでやり続けた先にあるものだと考えを改めた。能力が高いと感じる人もしっかりと見えないところで努力を積み重ねている。この努力の積み重ねを欠かさずに行う。そしていつしか歯科医師として力を身につけ患者さんに対し真摯な対応をとる。そんな歯科医師になる為にもこれからもより頑張っていきたいと思った。

今回、このような貴重な機会を与えてくださった院長の金崎先生には感謝の気持ちしかありません。普段、先生の話される純粋や誠実といった言葉の意味の一端を今回の研修を通して掴めた気がする。今後、自分の歯科医師人生において大きな転機となる場であったことは疑う余地の無い事だと思う。今後とも、まだまだ歯科医師として未熟な私をよろしくお願いしますとともにこの場をお借りして改めて先生にありがとうございましたと感謝の意を述べたいと思う。

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研修医:池田 大樹